走光性


 私は夜を舞う。

 闇の帳をまばらに照らすネオンの群れ。

 その隙間を私は舞う。

 いくつもの夜を潜り抜け、私は今もただ舞っている。

 いつからか。

 何を求めているのか。

 わからない。

 だから、私は考える。

 これは私の運命なのだと。

 だから、どこかに辿り着くべき場所があるはずなのだ。

 それを見つける日を夢見て、今日も私は舞うのだ。

 いくつもの夜を越えるうち、私の体は少しずつ重くなった。

 翼を動かし続けるのが最近ではつらくなりつつある。

 疲れている。

 私は疲れているのだ。

 それでも夜の街を舞い続ける。

 それが私の運命なのだから。

 なんだろう。

 青い光。

 夜を舞う私の姿を照らし出す。

 暖かく、眩い光。

 私はそれに引き寄せられた。

 それは、まるで花が蝶を誘うように、私をただ魅了した。

 体の内から沸き出でる衝動に駆られるまま、私はその中心を目指した。

 少しずつ光が近くなる。

 それにつれて私の体は温度を増していった。

 光は母の腕のように私を暖かく包んだ。

 これだ。

 私は確信していた。

 これこそが、私が求め続けていたものなのだと。

 理由などありはしない。

 それは、私がこの世界に生まれ出でる時に、いやそれよりもずっと前に決まっていたことなのだ。

 これこそが私に刻み込まれた運命なのだ。

 私はひたすら光の周りを舞い続けた。

 光と、熱気と、満足感だけが私を包み込んでいた。


 午前3時。

 最近夜は暇でしょうがない。

 真奈美の奴もてんで連絡が取れない。

 退屈しのぎに俺はコンビニに出掛けた。

 コンビニの外で光っている青い電灯の周りを、蛾が飛び回っている。

 それを一瞥すると、俺はコンビニのドアをくぐった。

 腹減ったな。

 おでんでも食うか。




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